18🦋 その12④ 私の生い立ち・人生 〜アダルトチルドレン〜(2件目の精神科)〜
運転するのは怖かったが、予約した精神科は自宅からほど近いところで、車で5分ほどで着く。自力で行った。
自分で行けたし、今度は、前回のように怯えたりせずに、きちんと話をすることができた。
時間もたっぷり取ってくれて、まくしたてられることもなく、先生は穏やかに、ただただ、この一件の最初から最後までを聞いてくれた。
母とのことのくだりで、先生は驚いて、そのあと深く頷いていた。
自分はアダルトチルドレン(AC)なのではないかと話したことも、「そうだね」とは言わないが、話を全て聞いて、納得している表情だった。
その上で、私はもう母への諦めがついたこと、家を出ようと思うことを話すと、先生はこう言った。
「そうだよ。その通りだよ。諦めがついたというのは、決別をするということだよ。もう過去のことは切り離しなさい。そんな酷いお母さんに、まだ話を聞いてもらいたいかい? もう違うんでしょう? 家を出るんだよ。合ってるよ! あなたの思っていることは、合ってるよ!!」
年配の痩せ型のその先生は、窪んだ大きな目を見開いて、しっかりと私を見ながら、
微笑んでいた。
励ますように。
涙が出た。
こんな風に誰かに私の心境を理解してもらったことはなかった。
初めてだった。
私の心境を話しても、友人も彼も叔母も恩師も、「お母さんも辛かったんじゃない?」とか、「そのうち元どおりになるよ!」とか、そんな返答が返ってくるのだ。
私の抱えている問題は、そんなことではないのだ。
初めて、母の元から逃げろ、というニュアンスの事を面と向かって言われた。
ケータイの画面では何度も見たことがあったが、まさか、ついに、自分がそう言われた。
私は、パーソナリティ障害じゃない。
ただの、ACだった。
それだけだったが、それは、
大きなことだった。
共依存の彼へ続く