16🦋 その12② 私の生い立ち・人生 〜アダルトチルドレン(話を聞かない精神科医)〜
次の日、彼に、予約なしで行ける病院に連れて行ってもらった。
受付でガクガク震えて声が小さかった。問診票を書く手も震えていた。
問診票を出して待合に座ったとき、また泣き出した。震えた。
彼は背中をトントンたたいてなだめてくれた。
2人の医師がいるようだった。
1人は穏やかにゆっくり「〇〇さん、お入りください〜」とアナウンスしているが、もう1人はせかせかした感じの早口で、しかも次の人を呼ぶまでの感覚が短い。ちゃんと話聞いてるんだろうかと思えた。
私の名前を呼んだのは、せかせかしている方の声だった。震えた。
診察室に入り座ると、まくしたてるように喋られた。眠れないこと、今のように情緒不安定になったきっかけなどを話した。自殺を図ったことも話した。私は境界性パーソナリティなんじゃないかと思うことも話した。見捨てられ不安があったので。
医師は、それを聞くと、
「自分でもそう思う?あなた、彼がいないと生きていけないと思うでしょ。」
なんか違った。彼が別れようと言ったとして、死のうとは思わない。そもそも私は自責の念に駆られて死にたかったのだ。
医師は境界性パーソナリティ障害だと診断はしなかったものの、その程で話し始めた。
「眠れないって言っても、あなた、お薬出したらいっぱい飲んで死にたくなっちゃうでしょ」
それもなんか違った。私はODで死のうとは思わない。そんなことしてもどうせ助かっちゃうじゃないか。私が死ぬときは、確実に一発で死ぬ方法を選ぶだろう。
「いや…飲まないと思います…」
そう言ったところで、医師は信用しなかった。境界性パーソナリティ障害だと疑われれば、そりゃ、薬は出さないのだろう…。
「ひとまず、週に一回ずつ、私のところに来てみてはいかがですか。ね、そうしましょう。ただ、他の原因も考えられますから、今日は血液検査を受けてから帰りましょう」
そこまでを大きな声でまくしたてるように喋られた後、診察室を出ることになった。
結局、きちんと話すことができずに終わった。
待合で待っていた彼は、医師の声が大きくて診察室の外まで聞こえていたよと言っていた。早口で、あれは精神科に来るような人に話す話し方じゃないんじゃないかなと思っちゃったよ…とも言っていた。
その通りだと思う。
二度とここには来ない、と思った。
12-③〜アダルトチルドレン〜(母への諦め)へ続く